【伊勢国比佐古文庫旧蔵文書】
識別記号 ac1956002
資料記号 31B
標題 伊勢国比佐古文庫旧蔵文書
年代 1667年~1911年
主年代
年代注記 1667(寛文7)年-1911(明治末)年
記述レベル collection
書架延長/数量 1m/210点
物的状態注記 210点(40冊、153通、11綴、5枚、1鋪);活版刷を含む。
出所・作成 比佐古文庫
履歴 比佐古(青瓢)文庫とは、松阪市魚町に居住していた郷土史家桜井祐吉氏(1960年没)の個人文庫である。松阪周辺の商業関係文書を収集したもので、具体的には(1)川口家文書、(2)角屋家文書、(3)川北家文書、(4)角田家文書、(5)その他とに分けることができる。その内、来歴が判るものを記すと以下の通りである。(1)川口家は松坂日野町の木綿買継問屋で、1873(明治6)年には鳥羽開港集荷周旋方頭取を度会県勧業課より命ぜられ、また鳥羽郵便船会社を創業し副頭取に就いている(いずれも辞令・褒賞のみで具体的活動は不明)。(2)角屋家は伊勢国大湊・松坂を拠点にして戦国期から活躍した有力な廻船業者で、江戸中期(1765年)から藍玉問屋となる。その祖は永享年間(1429‐1441年)信濃国松本から伊勢国山田に移住し、七郎次郎元秀の時に大湊に移住して廻船業を開始し、角屋と号するようになる。この後代々の当主は七郎次郎を名乗った。元秀の子七郎次郎秀持は、後北条・徳川・織田・北畠氏らの御用を勤め、東海道・関東の大神宮領から神餞米や伊勢参宮の輸送に従事して蓄財を重ねた。1582(天正10)年の本能寺の変に際して秀持が徳川家康の危急を救った時、その功として分国(三河・遠江)中400石船1艘の諸湊出入役などの課役を免除され、その後も歴代将軍から与えられることになるため、この秀持が御朱印船初代ということになる。2代忠栄は1588(天正16)年蒲生氏郷が松坂に移城の際、大湊より松坂に移住した。忠栄の長男3代忠祐は松坂本家を継ぎ、3男栄信は和泉国堺に住み、鰯屋と号して廻船業に従事した。次男栄吉は1631(寛永8)年長崎を出帆して安南国(ベトナム)に住居を定め、盛んに安南貿易に従事して巨万の富を築いた。6代持信の1755(宝暦5)年に持船八幡丸が出羽国能代浦で難破したが、新造船の資金繰りが困難であったらしい。7代有喜の時の1765(明和2)年に藍玉問屋三領御免、2年後酒問屋株在町御免、1769(明和6)年には一般の諸問屋株禁止のところ角屋だけ除外され、藩の保護が厚かった。その後、10代元貞まで松坂に住し、11代秀貞は山田(現伊勢市)へ移住した。(4)角田家は、伊勢外宮の門前町である山田町の1町、岡本町の山田御師である。
(関係地)伊勢国飯高郡松坂‐三重県松阪市[現在]
(主題)―
(役職等)―
伝来 1956年度に旧三井文庫保管のものを譲渡。
入手源 旧三井文庫
範囲と内容 比佐古文庫の松坂商業史料は、その出所によって、(1)川口家文書、(2)角屋家文書、(3)川北家文書、(4)角田家文書、(5)その他に分けることができる。(1)川口家文書は、a,維新後の藩債や藩札処理に関するものと、b,松坂木綿買継問屋としての活動記録(松坂木綿由緒、松坂木綿問屋開業沿革、松坂木綿会社設立書類、松坂木綿組合総則組合人名、伊勢木綿買継組合回章、繭糸織物など共進会・内国勧業博覧会の辞令や褒賞及び出品目録など)とで構成される(1867-1892年、慶応3-明治25年、65件)。(2)角屋家文書は、6代持信が1765(明和2)年に紀州藩より松坂・田丸・白子三領の藍玉問屋を命じられた以降の紺屋株に関係する文書で、1771(明和8)年から1870(明治3)年までの37通である。内容は藍玉口銭の支払や株譲渡をめぐる願書、窺書、返答書、済口証文、藍玉問屋定書などである。(3)川北家文書は松坂米穀取引所関係の文書で、設立発起認可申請書や各事項調書、株式運動日記などである(1887-1896年、明治20年代、4点)。(4)角田家文書は、檀所の請負・譲渡・売渡・買戻証文類が主である(1755-1870年、宝暦5-明治3年、18通)。(5)その他では、この文書群が収集されたものなので断片的把握しかできない。注目されるのは「定法帳」で、1798(寛政10)年から1815(文化12)年までの記述があり、町人が自主的に仲間極めをした帳簿である。また、伊勢国度会郡駒ケ野村(和歌山藩田丸領、現度会郡度会町)の炭改番屋設置に関する1699(元禄12)年の文書がある。他に、田丸御勘定所・御為替所御用金の証文類がある。
評価選別等スケジュール
追加受入情報
整理方法 これまでの文書群名は「伊勢国比佐古文庫旧蔵松阪商業資料」。
利用条件
使用条件
使用言語 JAPANESE
物的特徴及び技術要件
検索手段 カード目録
原本の所在
利用可能な代替方式
関連資料
出版物 (1)川口家文書の大半は、『松阪市史』第14巻、史料編近代(1)(1982年)に掲載されている。(2)角屋文書の一部は、『同市史』第12巻、史料編近世(2)(1983年)に掲載(抄録)されている。
注記
収蔵名称 国文学研究資料館(歴史資料)

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