【山城国京都久世家文書 || Kuze Family Papers, Kyoto, the Province of Yamashiro】
識別記号 ac1957021
資料記号 32U,33F
標題 山城国京都久世家文書 || Kuze Family Papers, Kyoto, the Province of Yamashiro
年代 1657年~1881年
主年代
年代注記 明暦3年(1657)―明治14年(1881).大半は近世中期から明治初年のもの.
記述レベル collection
書架延長/数量 13m/2300点
物的状態注記 2300点余.
出所・作成 久世家
履歴 【『総覧』No.318】久世家は村上源氏の流れを組み,久我家19代敦通を祖とする羽林家である.代々近衛府の役に任じられ,近世中期以降は権大納言に昇進した.幕末維新期には議奏役を勤めた.所領は山城国乙訓郡下久世村(のち中久世村)において200石を与えられた.【『目録』31集「久世家」】久世家は村上源氏の流れを汲み,久我家一九代敦通の子通式を祖とする羽林家である.通式以後の系図は後掲の通りで,現在の当主までニニ代を数える.歴代の官位略譜(後掲)にみる如く,代々近衛府の役に任じられ,通夏以後はいずれも権大納言に昇進している.幕末維新期の通熈は議奏役を再勤しており,明治後に子爵に叙せられた. なお,同じ村上源氏として久我家から分岐した公家諸家は,中院,六条,岩倉,千種,東久世,久世,梅渓,愛宕,植松の九家であった. 通式が久世家を称した時期は明確でない.応永の頃に,同じ久我支流の千種具通が久世を称したことがあるが,これとは直接の関係はないとみられる.ただし,何れも山城国久世村との所縁によることは共通している.ともかく,通式は,元和五年(菱九)一〇月に所領として山城国乙訓郡下久世村において二百石を新知されている.これが後には同郡中久世村の二百石を以て久世家領となるが,実際の所領に移動はなくて村名の変更であった.すなわち,下久世村約千石のうちの三百石が中久世村として分離独立したものと考えられる.これに従って朱印状の表現も,寛文,貞享の両度は「下久世村之内弐百石」であったものが,享保四年に至って「中久世村之内弐百石」に変っている.この分村は延宝七年に確立したともいうが,享保元年にも「下久世村之内中久世村」の記載があって明確でない.(この項は明治大学刑事博物館所蔵久世家文書による)因に,中久世村三百石のうち残余の百石の相給者は,偶然にも本集に併載した平松家であるが,平松家では寛文度の朱印状において既に中久世村の名称になっている.なお,中世末に久世を称した千種氏は近世においても下久世村に八〇石を領していた.
(関係地)山城国京都‐京都府京都市[現在]
(役職等)公家‐華族;議奏役
伝来 1957年・1958年の両年度にわたって東京の同一の古書店から購入した.Kuze Family Papers(32U) were purchased by The Shiryokan (Dept. of Historical Documents, Ministory of Education, Science and Culture) on 1957FY. Kuze Family Papers(33F) were purchased by The Shiryokan on 1958FY.【『目録』31集「文書の伝来」】本文書は,昭和三二年,三三年の両年度にわたって,東京の古書肆から当館が購入したものである.受入れの文書記号はそれぞれに32U・33Fと区別してあるが,整理番号は両者を合せて一連番号とし,利用の便宜をはかってある.すなわち,一~六四〇は32Uの分であり,八〇〇~二二七五は33Fに属する.但し,両者とも同一の書店から購入したものであるから,質的な相違点は認められない.区分は専ら事務手続上のことと考えてよい. なお,本文書には,主体となる久世家旧蔵の史料のほかに,伝来の径路が異なる若干の史料が含まれている.一般に,古書店などの第三者を通じて入手した史料には,他家文書が混入する例が珍しくない.そのような場合に,当館ではできるだけ原蔵の形態に復原することに努めている.もちろん,混入した量の多寡にもよるが,出自の異る史料を分離独立させた例も多い.しかし,今回は敢えて異系統の史料を分割せずに,久世家文書の名称のもとに一括して整理した.それは,第一に発生や伝来が違いながらも同じく公家の史料であるために完全な復原が困難であること(詳しくは分類の方針の項で後述),第二には本文書の分身といえる明治大学刑事博物館所蔵の久世家文書に,購入先が違うにも拘らず全く同一の混入史料がみられるように,この混入には単なる偶然でない可能性があると考えたからである.それは何らかの理由による蒐集史料と推定することでもあるが,旧蔵者の久世家を含めてそのような蒐集の事実を示す証左は現在までのところ確認されていない.そのため,原因の究明を後考に残したまま,一括して整理目録を作成することにしたが,利用に際してはこの点に注意されたい.
入手源 32U・33Fとも古書店.
範囲と内容 【『総覧』No.318】当館が所蔵する久世家文書は,同家に伝来した文書の一部であり,文書群の全体像は明治大学刑事博物館が収蔵する約2000点余の文書と,京都の久世家宅に現存する文書を併せて検討することが必要であるが,文書群は概ね大きく(1)久世家の家文書,(2)朝廷への勤役に関する文書,(3)所領支配文書,(4)伝来不明な他家の文書からなっている.(1)には過去帳,同家の冠婚葬祭関係の史料,贈答行為・家計・信仰に関するもの,また当主日記(天和3年?明治初年),役所日記(文化9年?明治初年),御玄関日記(享保18年?明治6年,ただし文政4年?幕末までのものを欠く),明治期の華族宛の回章綴などがあり,数量的にもまとまっている.(2)には朝廷における諸儀式(改元・正月規式・節会・石清水放生会・春日祭・元服・布衣始など),天皇・上皇に直接関わる行事史料,関東参向(日光例幣使・贈経使),諸役勤(奉行職・議奏・触留・神宮神嘗祭用懸など)にかかわる役向きの日記なども見られる.(3)所領経営に関する史料は少ないが,この分に関しては明治大学刑事博物館に多く見られる.(4)六条家・梅小路家・高倉家などの文書が見られるが伝来は不明であり,文書購入以前の混入と見られる.【『目録』31集「本文書の特色」】いうまでもなく,公家の史料であることに最大の特色が存する.古代中世はさておき,近世の公家史料も,今日知られているものは決して少なくはない.当館が所蔵するものだけでも八件を数える.それにも拘らず,近世の公家史料に対する関心は,文学・遊芸や幕末維新期の政治史などを除いては,必ずしも高いとはいい切れない憾みがある.本文書は,全体で約二,三〇〇点と,決して多量といえるものではなく,従って内容からいっても全般にわたるわけではない.しかし,記録や編纂物に偏することなく,むしろ公家の生活を反映する具体的な事実を示す史料群であり,中堅の羽林家という立場からも,公家史料を解明していく上で,多様な利用に応じ得るものといえよう.個々の史料の特色については,次節の分類の説明のなかで触れることにして,ここでは文書の様式あるいは形態について述べておく.近世に使用された様式や形態を簡単に一覧する便宜がないので,新様式または稀少の形態と断定することは概して困難であるが,少なくとも農村地方史料を中心とする一般の近世史料のなかには余り見出せない形の史料が含まれていることは指摘できる.しかも,時代としては本文書もまさしく近世に属するのであるから,近世史料の一環として,その全貌を解明するために十分な活用を期待することができよう.
評価選別等スケジュール
追加受入情報 追加はないと思われる.No additions are expected.
整理方法 【『目録』31集「分類の方針」】本文書目録の作成に当っては当館が従来の目録で試みてきた分類方式を基本的に踏襲しつつ,公家史料としての本文書の特色を表現するように配慮した.すなわち,史料の作成事情を主眼とする内容分類によって,全体を大中小の重層方式に従って配列したが,それぞれの項目名の選定や編成については,残存する史料の量や内容に従いながら,公家史料に特有の形態や用語が反映するように心掛けて構成した.利用に当ってはこれを心得て活用してほしい.旧慣を重視する公家にあっては,故実旧書の筆写収集の数が多いが,それらも可能な限りそれぞれの内容に従って,例えば官位拝賀,婚姻,参向などの関連各項に分出した.同様に,家計支出の帳簿・書付類も,個別の婚礼や葬儀の費用であることが判明するものは各項に分類した.これは久世家における一件史料を袋入に整理してあった方式を尊重援用したものであるが,逆に,例えば支出帳簿などの同系史料が数項目に分散する結果となった.煩雑を避けるため重出を省略したので,関連項目を参照されたい.次に,本文書には,久世家以外の公家史料と少量の武家,町家史料が混在しているが,冒頭の伝来の項で述べたように一括して取扱うことにしたため,一部に変則的な措置をとったので注意されたい.公家の他家文書としては,六条家,梅小路家,高倉家などを挙げることができる.何れも,それぞれの家で作成した記録,または各家を宛所とする文書などである.しかも,それらの史料が混在している原因が不明であるため,個々の史料を配属するための適当な基準が見出せない.例えば,前述のように公家の家では旧記の書抜を作成することが多いが,筆者名や所蔵者名などがなければ,旧蔵の家を断定するのに多くの困難を伴う.もちろん,詳細な検討や関連史料との照合によって所属を確定するように,できるだけの努力は試みたが,時間的制約などのために,なお多くの所属未定史料を残すこととなった.とはいえ,所属の明瞭でないものを全部別扱いにするというわけにはいかない.そこで今回は,本文書の大半を占める久世家文書に焦点を合せ,明瞭に他家文書と確認できるものだけを別項に除外することにした.その結果,六条家と梅小路家とについて別項として付載し,ほかに若干の不明史料を一括してこれに加えた.従って,久世家文書として扱った史料のなかにも,例えば宛名の明記してない書状などは,六条家または梅小路家,あるいはその他の家に所属するものが含まれているかも知れない.利用者はこの点に注意されるよう改めて指摘しておく.なお,本集に併載した平松家文書とは,文書内容の差異に従って分類項目に若干の異同があるとはいえ,同じく公家文書であるから,様式などには両者に共通するものが多い.同一様式の史料で,彼に多く是に少い場合には説明を省略した場合もあるので,後掲の平松家文書目録の解題を参照されるようにお願いしたい.以下,本文の配列順に従って,各項目毎に簡単に説明を加えることにする(『 』内ゴジックは大項目,『 』明朝は中項目,「 」は小項目を示す.また,〔 〕内の数字は史料の整理番号を示す).
利用条件 調査研究目的であれば資料群は公開されている.一部の資料は,代替資料での閲覧となることもある.Collection is open for research.
使用条件 複製,出版,引用,その他の使用のためのすべての請求は,国文学研究資料館事業部の資料閲覧サービスの長へ書面にて提出されなければならない.同意は,物的品目の所有者としての国文学研究資料館へ与えられ,著作権所有者からの許可を含むか含意することは意図されない.そのような許可は著作権所有者から得られなければならない.All requests to reproduce, publish, quote from or otherwise use collection materials must be submitted in writing to the Head of Public Services, National Institute of Japanese Literature, NIHu, Tokyo. Consent is given on behalf of The NIJL as the owner of the physical items and is not intended to include or imply permission from the copyright owner. Such permission must be obtained from the copyright owner. 制限はまた,資料原本の電子的表現へも適用される.電子ファイルの使用は,調査研究および教育の目的に制限される.Restrictions also apply to digital representations of the original materials. Use of digital files is restricted toresearch and educational purposes.
使用言語 {@scriptode='Jpan' langcode='Jpn'}日本語Japanese|{@scriptcode='Hani' langcode='jpn'}日本語‐漢字 Japanese, Han|{@scriptcode="Hrkt" langcode="jpn"}日本語‐平仮名片仮名 Japanese, Hiragana and Katakana
物的特徴及び技術要件
検索手段 国文学研究資料館史料館.『史料館所蔵史料目録』.第31集,東京:国文学研究資料館内国立史料館,1980年.
原本の所在
利用可能な代替方式 本資料群には代替形式は存在しない.(原本,マイクロ収集資料とも.)There are no alternate forms of this collection.
関連資料 【『総覧』No.318】明治大学刑事博物館が久世家文書の一部2000点余を所蔵している(『明治大学刑事博物館目録』第15集).同館が入手した時期は当館とほぼ同じであり,本来一体であったものが2分され,それぞれ別々に収集されたと思われる.また,久世家にも150点余の文書が現存する.その一部はマイクロ収集した(F8007).【『目録』31集「関連史料の所在」】本文書と関連あるものとしては,第一に明治大学刑事博物館所蔵の久世家文書を挙げねばならない.同館が入手した時期は,当館とほとんど同じであり,恐らくもと一体であった文書が,何らかの理由で分離し,相次いで二つの機関に別々の古書店を通じて収集されたものと推定される.その全貌は既に『明治大学刑事博物館目録 第15号』(昭和34年8月刊)によって公刊されているので,詳細は同書に依られたい.その総量は約二千点弱で,本文書に匹敵し,両者は相互に補完し合う関係にある.散逸以前の久世家文書の全容を知る手がかりを得ていないので,旧形がどれだけの規模であったかを確めることはできないが,両者を併用することによって,久世家文書のかなりの部分を窺うことができると考えてよかろう.同一の行事の関係史料が分散しているように,両者における史料内容の差異は認められないが,刑事博物館所蔵分においては家領に関係する史料(朱印状・名寄帳・勘定目録など)が,当館分に比して多いといえる.何れにしても,利用者は本文書と併せて閲覧する必要がある.なお,当館所蔵分に混在している他家史料が,同館所蔵のものにも全く同様に含まれていることは前述の通りであって,混入が古書店の入手以前に始っていることを示している.次に,旧蔵者である久世家(現当主,久世業総氏)にも「過去帳」「家伝」「久世家系図」数種類のほか,和歌伝授の誓状や詠草などの史料があって,大切に保存されている.また別に,日本史籍協会叢書の中に『久世家文書』があって,久世通熙が議奏在職中の幕末維新期の備忘・書状留が収載されている.本文書中には,これの原本に相当する史料は見出せないので,同期の史料を利用する場合は参照が必要である.
出版物
注記
収蔵名称 国文学研究資料館(歴史資料)

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