【日本実業史博物館準備室旧蔵資料||The preparation room of Japanese industrial history museum materials】
識別記号 ac1962020
資料記号 37T
標題 日本実業史博物館準備室旧蔵資料||The preparation room of Japanese industrial history museum materials
年代 1673年~1949年
主年代
年代注記 1673(延宝期)年以降-1940(昭和10)年代。
記述レベル fonds
書架延長/数量 111m/25570点
物的状態注記 (1)絵画の部1106点、(2)地図の部350点、(3)番付の部257点、(4)竹森文庫2484点、(5)古紙幣2711種・7573点、(6)商業器具約5000点、(7)文書の部と(8)書籍の部約6000点、(9)広告の部約350点、(10)写真の部約2450点。
出所・作成 日本実業史博物館準備室
履歴 日本実業史博物館の設立計画は、明治・大正・昭和の3代にわたり日本近代の指導的実業家であった渋沢栄一(1840−1931年、天保11−昭和6年)の没後、その遺徳顕彰記念事業として企画された。当初これを企画したのは、栄一と所縁の深い企業人の集団である財団法人竜門社であったが、栄一の没後、栄一の伝記編纂のために組織された渋沢青渕翁記念会がこれに協力する形で発足したという。すなわち青渕翁生誕百年記念事業として、栄一の晩年の住居であり、没後栄一の遺志によって竜門社に寄贈された東京王子飛鳥山の曖依村荘(栄一の別邸)の敷地内に博物館建設を予定し、その地鎮祭は1939(昭和14)年5月3日、当時の政財界の著名人を招いて挙行されたことから、その完成は翌年の生誕100年を目指していたと思われる。しかし、満州事変に始まった日中戦争の最中という戦時経済態勢下、同年秋の建築資材の統制によって建設の着工は中止となり、さらに戦火の拡大は第二次世界大戦へと進行し、そして敗戦に至るが、他の財閥と同様、渋沢同族株式会社も持株会社に指定されたことによって、博物館の設立を断念せざるを得ない事態となる。 博物館設立の準備作業としての資料の収集は、1932(昭和7)年以降、栄一の嫡孫で後継者であった渋沢敬三(1896−1963年、明治29−昭和38年)を中心として、土屋喬雄・樋畑雪湖が加わって着手され、建設中止後も開館へ向けての努力は敗戦まで続行された。当初、千代田区丸ノ内の第一銀行本店内(栄一は同行創業者、敬三は副頭取)に設立準備室を設け、収集資料もここに保管された。その後、1942(昭和17)年に敬三が第一銀行副頭取より日銀副総裁に転出し、翌年第一銀行と三井銀行の合併による帝国銀行の創立によって収集資料の移転問題が起こり、小石川原町の阪谷芳郎(栄一の女婿)邸を敬三が購入して竜門社に寄贈し、その管理を委ね、ここを実業史博物館の別館とし、収集資料の保管及び設立準備室とした。 敗戦後、旧阪谷邸の博物館別館は幸いにも戦禍を免れ、収集資料も無事であったが、財閥解体・竜門社資産の凍結・旧阪谷邸の占領軍による接収という事態に至り、博物館設立どころか資料の保存も困難となったため、渋沢青渕記念館と合併して改称した渋沢青渕記念財団竜門社は、1951年に当時正式に発足した文部省史料館に収集資料の寄託を決定し、同年中に旧阪谷邸より移管を終えた(なお、文部省史料館の設立には敬三の力が非常に大きく、設立後の1952年から1963年まで文部省史料館評議員を勤めた)。敬三が没する前年の1962年9月、改めて寄贈の手続きがとられ、史料館の所蔵に帰した。 なお、本コレクションには竹森文庫(東洋経済新報記者故竹森一則の収集にかかる明治時代の政治・経済を中心とする書籍)が含まれるので、その歴史について触れておこう。彼が東洋経済新報に入社したのは、1922(大正11)年4月25日で、35歳の時である。それまでの経歴については、金沢出身であることと札幌中学中退ということのほかは不詳である。彼は『本邦生命保険業史』をはじめ『明治大正国勢総覧』『明治大正財政詳覧』を編集、1936(昭和11)年暮から1943(昭和18)年夏にかけて、東洋経済新報創刊40周年記念事業として『索引政治経済大年表』全2巻の大事業を完成させた。1950年1月16日疎開先で死去、享年63歳であった。
(関係地)東京府東京市小石川区原町‐東京都文京区白山[現在]
(主題)―
(役職等)―
伝来 1951年に渋沢青渕記念財団竜門社から寄託を受け、1962年に寄贈。本コレクションに含まれる竹森文庫は、竹森が『索引政治経済大年表』を完成させた翌年、東京では非常時体制から人や物の疎開が始まり、氏も北区田端の住まいから栃木県下に疎開するに際して、蔵書の一部を故渋沢敬三が購入し、これを日本実業史博物館へ寄贈したものである。
入手源 渋沢青渕記念財団竜門社から寄贈。
範囲と内容 実業史博物館が具体的にどのような構想で準備を進めていたかは明確に伝わってはいないが、収集資料の内容を窺う材料として、当時の設立準備室が採用していた資料保管のための分類項目を示すと、(1)書籍では風俗・産業・経済・雑、(2)図葉では絵画・地図・統計・雑、(3)民具では農業・砿工業・商業・交通・金融・度量衡・写真・服飾・雑である。すなわち、大別して書籍・図葉・民具の3部門に分け、各部門をさらに細分化したものである。現在では、(1)絵画の部、(2)地図の部、(3)番付の部、(4)竹森文庫、(5)古紙幣、(6)商業器具、(7)文書の部、(8.)書籍の部、(9)広告の部、(10)写真の部の10部門に編成替えを行った。このうち竹森文庫は書籍のコレクションであるので種類としては9部門である。現在まで整理を終えているのは(1)から(5)までと(6)の一部である。 (1)は大部分が化政期(1804‐1829年)以降の錦絵で、総数725件、982点である。この725件を版式によって分けると、石版21、銅版18、墨刷6、油彩2、絹本印刷1、写真印刷1、紙焼写真1の計50件のほかは、全て多色刷り木版画の錦絵である。錦絵を出板年代で分けると、1867(慶応3)年以前のものが56件で、他は明治期に刊行されたものであり絵師として107人の作品が収集された。また、錦絵のうちに絵双六が34件含まれている。 (2)地図は江戸から昭和期までのものが集められ、283件、350点で、その中心は江戸末期から明治時代である。交通・鉱山、そのほか商業都市関係のものには比較的珍しいものが含まれている。 (3)番付は196件、250点である。なかでも江戸末期から流行した見立番付が多い。その筆頭は丸持長者といわれる金持番付で、他には物産・銀行・交通通信・貿易・諸職・芸能・輸出入品・栄枯盛衰に関するものがある。なかには質屋番付、牛乳屋番付、醤油屋番付などの特色あるものもある。また便宜上、統計・相場関係の摺物も含めている。  (4)竹森文庫は、東洋経済新報記者故竹森一則の収集にかかる明治時代の政治・経済を中心とする書籍で、総計1558件、約2500冊で、1940(昭和15)年6月21日から29日まで日本橋三越で開催された、紀元2600年記念明治大正昭和経済文化展覧会(東洋経済新報社主催)の陳列文献目録に記載されている明治期のほとんどの書籍が含まれている。 (5)現存する古紙幣は化政期(1804-1829年)以降、特に幕末に発行されたものが大半を占める。発行主体で類別すると、藩札(大名札)、旗本札、寺社札、宮家札、町村札、宿駅札、鉱山札、私人札で、類別に未確定部分を含む町村札と、集計が困難な私人札のほか、府県札を除いた件数の内訳は、半数が大名札、旗本札と寺社・宮家札がそれぞれ18%で、地域は近畿40%、中国24%、中部16%で、関東の大名札のほとんどは上方以西における飛地札である。 (6)商業器具は、主として商工業に関する道具類が約5000点収集されている。主なものは、看板類200点(内、両替屋45点)、講社札50点、鑑札500点、銭箱・千両箱110点、帳面箱・帳場箪笥・帳場机・船箪笥20点、算盤30点、銅印600点、木印200点、・$3679・150点、金枡100点、分銅180点、矢立500点、弁当行李・弁当箱38点、財布・銭入・銭刀100点、行灯21点、時計類(香・日・砂時計など)20点などがある。 (7)文書の部と(8)書籍の部の総数約5300件、(9)広告の部350点、(10)写真の部約2450枚については現在整理を継続中である。特に写真は明治から戦前の風俗、風景、人物、船舶などのほか、関東大震災後の悲惨な状況を撮影したものもあることから貴重な資料が多い。
評価選別等スケジュール
追加受入情報
整理方法
利用条件 (6)商業器具の利用については、事前に情報閲覧室に問い合わせられたい。(10)写真の部は未整理で閲覧できない。
使用条件
使用言語 JAPANESE
物的特徴及び技術要件 (10)写真は変退色、劣化がかなり進んでいるものもある。
検索手段 『史料館所蔵史料目録』第11集(1965年)、第57集(1992年)、『史料館所蔵民族資料図版目録』第4巻(1971年)、カード目録
原本の所在
利用可能な代替方式
関連資料 「武鑑類」(28N 29H)参照
出版物 『明治開化期の錦絵(史料館叢書別巻1)』(東京大学出版会、1989年)に99点を収録。『江戸時代の紙幣(史料館叢書別巻2)』(東京大学出版会、1993年)に426点を収録。
注記 これまでの文書群名は「日本実業史博物館旧蔵資料」。[数量媒体詳細補足](1)絵画の部4m、(2)地図の部3m、(3)番付の部1m、(4)竹森文庫27m、(5)古紙幣5m、(6)商業器具152平方m、(7)文書の部と(8)書籍の部71m、(9)広告の部と(10)写真の部は4引出に納める。 検索手段補足『史料館所蔵史料目録』第11集(絵画の部・地図の部・番付の部・竹森文庫)、『史料館所蔵民族資料図版目録』第4巻(商業器具の内、枡、斗かき、繭枡、金枡、算盤、物差、竿秤、錘、天秤、分銅、弁当いれ、菓子型を収録)、『史料館所蔵史料目録』第57集(古紙幣)
収蔵名称 国文学研究資料館(歴史資料)

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