【尾張国知多郡半田村中埜半左衛門家文書】
識別記号 ac1950005
資料記号 25E
標題 尾張国知多郡半田村中埜半左衛門家文書
年代 1756年~1916年
主年代
年代注記 1756(宝暦6)年-1916(大正5)年、量的には化政期から明治40年代に集中する。
記述レベル fonds
書架延長/数量 5m/2000点
物的状態注記 2000点余;木片札が見られる。一紙ものは数十点単位で綴られることが少なくない。
出所・作成 中埜半左衛門家
履歴 中埜家は、近世中後期以降、地主化の道を進み、1874(明治7)年段階の所持反別は田方36町4反歩余、畑方10町9反歩余に及ぶ。小作地は、半田村をはじめ隣村岩滑・乙川・成岩村、および三河国の小栗新田・下佐脇新田に集中した。また、地主経営を基本に醸造業も行った。近世後期の分家にも、中埜半六家、中埜又左衛門家のように愛知県下でも有数の地主となり、醸造業を手広く行う者もいた。ことに又左衡門家による酢の醸造は江戸の握り寿司の普及にともない発展し、今日の中埜酢店(ミツカン酢)のもとを築いた。また、一族の結束も強く近世後期より共同出資で事業を行うことも少なくない。 また、同家は経済的な伸長に伴い1821(文政4)年に下半田村の庄屋役に就任するとその後も断続的に庄屋役を勤めた。さらに、隣村成岩村の庄屋役を1864(元治元)年から1865(慶応元)年まで勤め、岩滑村の庄屋役を1857(安政4)年から翌年まで、1860(万延元)年からは後見役、そして1864(元治元)年から翌年にかけて再び庄屋役を勤めた。さらに1867(慶応3)年から同村の取締役を勤め、翌年2月に退任した。以上の村役人のほかに、幕末には尾張藩から「木綿世話方」や「海岸守裁許役」に任じられた。近代には戸長・副区長・市長・衆議院議員など様々な要職を勤めた。経済活動の面でも丸三麦洒・半田倉庫や中埜銀行などの会社に出資し、役員などを勤めた。なお、中埜家では、「中埜」・「中野」を永く混用していたが、1880(明治13)年頃に「中埜」に統一している。
(関係地)尾張国知多郡半田村‐名古屋県知多郡半田村‐額田県知多郡半田村‐愛知県半田市中村[現在]
(主題)庄屋‐副区長‐戸長;地主‐醸造業
(役職等)庄屋‐副区長‐戸長;地主‐醸造業
伝来 1950年に原蔵者より譲渡。
入手源 原蔵者
範囲と内容 中埜半左衛門家文書は大きく5つのまとまりからなる。(1)近世の庄屋・御用文書、(2)近代の役場・公職関係文書、(3)村方富農による相続講中文書、(4)中埜家の家経営・事業に関する文書、[5]三河国碧海郡下佐脇新田の村方文書・地主経営文書である。(1)は、中埜家が勤めた居村半田村の庄屋役をはじめ、近隣の成岩村、岩滑村の庄屋役、尾張藩からの臨時の御用に関するものである。就任期間はいずれも近世後期である。組頭提出の年貢勘定帳などが多い。(2)は、明治維新から明治10年代の文書からなり、中埜家ではその時期、副区長、小区の戸長、戸長役場の戸長などを勤めた。現存史料は僅かであり、半田村における当該期の地方行政の展開と各役職への就任者を明確にする記録は確認できない。また、1876(明治9)年4月には郵便局を開局している。(3)いわゆる講中の文書であり、講中は下半田村の富農・豪商を講員に経営資金の確保・家の存続のために、1815(文化12)年に結成された。講員は25名余。講中の基本帳簿類は、年番から年番へと引き継がれ、共同管理されていたと考えられるが、1891(明治24)年の中部大地震を機に解散となり、文書は中埜家が一括保存することになったとみられる。講金貸付帳簿や利息配分帳などがよく揃っている。(4)では、家政、資産勘定、醸造業、浜島木綿店への出資、半田倉庫、地主経営に関するものが見られる。多くは帳簿類であり、そのうち経営全体の収支決算を行った年内勘定帳・年内収支勘定帳(天保7年-明治43年)は同家の最重要帳簿であり、経営状態が克明に記される。地主経営は文化期頃より本格化しており、小作地がある村を単位に小作支配人をおいて、小作料の徴収・収納を担当させ、これに伴う帳簿も作成提出させている。(5)中埜家では、下佐脇新田を1814(文化11)年に取得する。同新田は、三河国宝飯郡下佐脇村(現、愛知県宝飯郡御津町)の地先、音羽川の河口分の海浜地区にあり、幕末期の百姓軒数は14軒余であった。新田地のすべてを中埜家が所有しており、新田百姓は中埜家が新田を取得した段階からすべて小作人であった。規模は6町1反余である。海浜の開発により1819(文政2)年10月に検地が実施された。宗門人別改帳・年貢免状などの村方文書も多い。史料上には見えないが、実質上中埜家が庄屋的な機能をはたしたといえよう。
評価選別等スケジュール
追加受入情報
整理方法
利用条件
使用条件
使用言語 JAPANESE
物的特徴及び技術要件 虫損は少ないが、厚表紙のもので表紙が欠けているものがある。竪継紙の綴ものの取り扱いに注意を要する。
検索手段 『史料館所蔵史料目録』第58集(1993年)
原本の所在
利用可能な代替方式
関連資料
出版物 『半田市誌』資料編(1969年)、『新修半田市誌』本文篇上・中・下巻(1989年)、『新修半田市誌』資料篇近現代1(1991年)、『御津町史』史料編上巻(1984年)
注記
収蔵名称 国文学研究資料館(歴史資料)

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