日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/07.産業
01.絵画
07.産業
大日本物産図会 伊予国牛旁掘之図・同国峯越鴨捕図
明治10
1877
絵師:広重III 落款: 本名等:安藤徳兵衛 版元:大倉孫兵衛  日本橋通一丁目十九番地 
技法:錦絵 法量:372×258
数量:1
37TA/00043
00031
解説:上 牛蒡は各地で生産されており、京都の八幡牛蒡は良質なものとして有名であったが、大きさでは伊予の牛蒡が拔群であった。図中の説明にも″その大なるもの4尺余にいたる。太きことさしわたし三、四寸にあまる″とあって、長さ121cm、太さ12.1cmの巨大な牛蒡である。しかし、担いでいる子供の身長に比べても、図の牛蒡の大きさはやや誇張されているようだ。伊予牛蒡は『日本山海名物図会』巻四にも収録されているが、同図からの借用は、画面左上で2人の女性が収穫した牛蒡を加工している部分と、右下辺に天秤棒で運んでいる情景だけで、その他は創作である。借用した場合も、女性の髪形や衣服などは時代に合わせて変えてある。しかし、図で牛蒡の掘り出しに鍬を使っているのは誤りである。これでは、地中に1m以上も伸びている牛蒡は掘り出せない。前記『山海名産図会』に″鋤(すき)なくて牛蒡ぬきがたし″とあるように、柄の先にまっすぐの刃をつけた鋤でなければ、牛蒡は中途で折れてしまう。 下 鳧は鴨の古字。『日本山海名産図会』巻二にも、峯越鴨(おごしのかも)の題名で鴨の変わった捕獲法として収録されており、本図はこれをそっくり借用している。山の両側が田になっている地形を利用して朝夕の薄明時に、地面に掘った穴のなかに身を隠して、飛来する鴨を図のような扇形の網で捕るのだが、捕獲には修練を要したという。 ≪「大日本物産図会」≫ の解説はNo.20を参照。
史料群概要
画像有