日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/07.産業
01.絵画
07.産業
大日本物産図会 淡路国鯛ブリ網之図・同鯛網之図
明治10
1877
絵師:広重III 落款: 本名等:安藤徳兵衛 版元:大倉孫兵衛  日本橋通一丁目十九番地 
技法:錦絵 法量:371×257
数量:1 
37TA/00032
00032
解説:鯛は日本中の各所で獲れるが、関西では明石鯛または淡路鯛といって、鳴戸海峡の内側の瀬戸内海産の鯛が珍重される。ブリ(振)網は、葛(または桂)網ともいって、木片や貝殻などを縄や竿に結びつけて水中を引き回し、これに驚いて海底から浮き上がった鯛を、周辺に張った網に追いこんで獲る漁法である。もとは、おどしに使うブリと網とが別々であったが、後には網にブリを直結することで、さらに効用を高めた。 図は上・下でセットになり、出漁中の全景を上図に、追いこんだ網からの捕獲情景が下図に描かれている。しかし、上図で岸近くにすでに網が張られていて、これでは地引網と紛わしい。本図の模本は『日本山海名産図会』(巻三)の讃州榎股の鯛振(ふり)網および鯛五智網にあるが、実は初代広重が『六十余州名所図会』(安政2_1855年版)の「淡路 五色浜」でこの構図を描いている。これは大錦の一枚判の竪長の構図になっているが、本図では天地を圧縮してほぼ同じ構図を踏襲している。ただし、元図では海面に出ている網が、ただの点線であるのに、本図の網にはブリの板片を書き加えてある。なお、『名産図会』には海岸線が描かれておらず、沖合の漁法であることが明白になっている。(原島) ≪「大日本物産図会」≫ の解説はNo.20を参照。
史料群概要
画像有