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解説:鷹狩に使う鷹の捕獲と、捕獲した鷹を馴育する場面を上下に収めている。鷹の捕獲法には各地の流儀があったが、上図は『日本山海名産図会』(巻二)に紹介されている伊予国小山田で行っていた張切網の図を、説明文とともにそのまま借用したものである。中央左辺に長く張ったのが鷹を捕る張切網で、その下の円筒形の小網は〈おとり〉用のヒヨドリを入れる挑灯網という。挑灯網の脇には蛇の形の木片を用意しておき、鷹が飛来すると、蛇形の木片を遠くから紐を引いて動かし、これに驚いて騒ぎ立てるヒヨドリを目がけてとんできた鷹が張切網にかかるという仕組みであった。 下図は、捕らえた鷹に足紐をつけて、獲物を捕らえるように教育する様子を描いたもので、これを扱う鷹匠には種々の口伝があった。 なお、この「大日本物産図会」のシリーズは、大和・相模などのいわゆる60余州の旧国名ごとに上下2図に仕立てたもので、奥羽を陸前や羽後に細分し、北海道を加えているため、合計74国となり、上下で148図になるはずである。そのなかには、上野や遠江のように出版が確認できない国が16国あるなかで、この伊予国だけが2枚4図も採用されているのは、何の故か不明である。 ≪「大日本物産図会」≫ の解説はNo.20を参照。
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