日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/10.地理
01.絵画
10.地理
東京日本橋之真景  第十六号
明治21
1888
絵師: 落款: 本名等: 版元:熊沢喜太郎  東京日本橋区新右衛門四番地 
技法:石版 法量:287×393
数量:1 
37TA/00072
00117
解説:石版画の技法は、明治初期に紙幣の印刷などから始まり、雑誌や書籍の挿図として普及した後、明治20年代にはいわゆる「額絵」と呼ばれる鑑賞用・土産物用の作品が多数制作された。「額絵」とは錦絵の大判や中版の大きさで、美人画や風景画を表した石版画を指す。砂目石版の微妙な陰影による写実的表現は、錦絵を時代遅れの視覚メディアに転落させる大きな一撃となった。本図は日本橋の北岸から西方、すなわち皇居の方角を望んだ構図。この周辺は江戸時代から魚河岸として賑わったところ。川の両岸には倉庫が建ち並び、小舟が数多く係留されている。右手の倉庫の軒下には、江戸中期の眼鏡絵にも似た、少し狂った遠近法が見られる。対岸の橋のたもとに見える洋館は電信分局である。1869(明治2)年の開通以来、電信はこの時代の重要な通信手段であった。この手の額絵の常として、原画を描いた画家の名は知られていない。出版者である熊澤喜太郎は、明治20年代に活躍した版元の一人。本図右下に「第十六號」とあり、シリーズものの一つであることがわかる。『明治の石版画』(春陽堂書店、1973年)に同じ版元で「第三十一號」という番号を持つ「東京美人」(1889年)という作品が収録されていることから、東京の名所や美人を取り合わせたものだったと思われる。(田島)
史料群概要
画像有