日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/10.地理
01.絵画
10.地理
〔東京名所十六景〕
明治24
1891
絵師: 落款: 本名等: 版元:沢久次郎  日本橋区馬喰町二丁目十一番地 
技法:銅版 法量:278×388
数量:1 
37TA/00075
00120
解説:明治20年代に入ると、風景画の中心的なメディアは錦絵から銅版画・石版画へ移ってゆく。ソフトなマチエールの石版画に対し、銅版画は細部をシャープに表現できる点が特徴である。本図は1枚に16の東京名所を書き込んでいるため、各図の大きさは10cmにも満たない小さな画面となっている。銅版画ならではの細かい描写が生かされている。墨版のほかに空に緑、その他に茶色の版を用いた多色刷りになっている。版元の住所氏名が飛び飛びに4箇所に刷り込まれているのは、4つに切り離して販売することが可能であることを示している。描かれている名所は、浅草寺のように古くからの名所もあるが、多くは開化絵にも取り上げられてきた明治の新風景である。描き込まれた人物の大半が背中を見せて立っており、観者もいっしょに名所を眺めているような効果を生んでいる。なお、各図の右下もしくは左下に、「東京」という文字と○に「善」のマークが入っている。出版、洋品輸入の分野で当時活発に活動していた丸善との関係があるかも知れないが、『丸善百年史』(昭和56年、丸善株式会社)にはこれに相当する記録は見当らない。(田島)
史料群概要
画像有