日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/01.外交
01.絵画
01.外交
上野公園地楽車印練込賑ひの図
明治12
1879
絵師:広重III 落款: 本名等:安藤徳兵衛 版元:林吉蔵  南伝馬町一丁目二番地 
技法:錦絵 法量:375×740
数量:3続 
37TA/00079
00124
解説:1879(明治12)年8月25日、東京府民の懇望に応じて明治天皇は上野公園に臨幸した(『新聞集成明治編年史』所収「東京日日新聞」)。当日は、流鏑馬(やぶさめ)、犬追物、槍剣術を始めとする演目があり、打上花火をあげるなどの歓迎行事が繰りひろげられらたといい、本図の山車(だし)行列もその一環として行われたものであろう。山王祭と神田祭は、俗に天下祭と称して、江戸の市民が自慢した行事で、各町内が華美を競った山車練り物は江戸城内にもくりこんで、将軍やその家族らの見物所の前を練り抜けるのを例としていた。江戸城の新しい主となった天皇に、同様の奉納をして観覧に供しようという東京府民の心意気が、当日の行事のなかに山車を牽き出させたと考えられる。 山車の先頭は、大伝馬町の鶏、次は猿、神功皇后とつづいている。いずれも祭礼では名声の高い代表的な山車であった。前月に来日した米国のグラント前大統領も、このイベントに参加している。なお、版行の届日が8月4日となっていて、実施した8月25日より20日も早い。届日に誤りがなければ、本図は実景ではなく、予想図となるが、伝統的な祭礼の山車行列の情景は、錦絵画家にとっては少しの抵抗もなく、いつでも描ける自家薬籠中の画題であったといえよう。
史料群概要
画像有