日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/08.商業
01.絵画
08.商業
古今東京名所 尾張町恵比寿や布袋屋呉ふく店
明治16
1883
絵師:広重III 落款: 本名等:安藤徳兵衛 版元:   
技法:錦絵 法量:182×240
数量:1 
37TA/00083
00128
解説:「古今東京名所」シリーズの6番目は尾張町である。現在の銀座4丁目で、江戸のころも東海道に面するメイン・ストリートであったが、維新後に煉瓦街を建設するなどして、東京の中心街へと急成長しつつ変貌した街であった。 「古」も「今」も、銀座4丁目の交叉点付近を対象としている。「古」の題名には、恵比寿屋と布袋屋との2軒の呉服店を挙げているが、『江戸名所図会』(巻一)の尾張町には、2軒のほかに亀屋が加わって3軒の店が競っていた様子が伝えられている。だが、亀屋は文政の買物案内から姿を消しているので(『京橋区史』上巻)、本図では省略されたのであろうか。もっとも本図には両店に挿まれた形で店名不明の染物所が描かれており、亀屋の形跡を残している。それよりも、恵比寿屋と布袋屋の位置が『名所図会』と逆転しているのは何故であろうか。「今」の日報社は、1876(明治9)年12月に尾張町の恵比寿屋の跡地へ移転しているが、両図の関係では本図の方が正しいようにみえる。両者の風俗では、「古」が和傘や鉄砲を携行する武士で幕末の情景を描き、「今」では洋傘、鉄道馬車、人力車、ガス灯などで新時代を現している。 ≪「古今東京名所」≫ 東京の名所を、江戸の同一地点との対比で描いたもの。当資料のなかには、(二)江戸橋、(六)尾張町、(十)飛鳥山、(十一)筋違橋、(十三)駿河町、および番号不詳の常盤橋があるが、全体の構成は不明である。『幕末明治の浮世絵集成』(樋口弘)に、上記以外の「外桜田」(九か?)が収載されており、『浮世絵事典』(吉田暎二)には、「古今名所図会」として″三代広重の作であるが、版下のまま出版されずに終わった画稿、大錦、刊記明治12年″とあり、内容は日本橋、常盤橋、金杉橋、駿河町、鎧橋、浅草橋、九段の8枚が遺っていると伝えている。地名では駿河町と常盤橋が共通するが、判形が大錦とあるのに現存物は半分の中判という相違があって、俄に同一のものと断定はできないが、何らかの関連はあると考えられる。
史料群概要
画像有