日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/10.地理
01.絵画
10.地理
東京市区改正予図 
明治21
1888
絵師:安治 落款: 本名等:清水文蔵 版元:清水文蔵  浅草区三筋町十五番地 
技法:錦絵 法量:379×737
数量:3続 
37TA/00105
00150
解説:市区改正とは、今日の言葉で言えば「都市計画」にあたる。東京を近代国家の首都にふさわしい街とするために、どのような改造を行うべきか、明治10年代にさまざまな議論が巻き起こった。それがようやくまとまったのが1888(明治21)年8月公布の「東京市区改正条例」だった。 本図は、条例公布の直後に出されたもので、改正の計画が描かれている。構図は日本橋の上空から、南西方向を俯瞰している。道路は幅広く整備され整然とした町並みが見られる。鉄道は新橋から神田方面まで延長され、後に東京駅となるあたりを蒸気機関車が走っている。真ん中の上寄りに見える緑の区画は、日比谷公園予定地。日比谷公園は市区改正の目玉の一つで、日本初の都市公園という役割が与えられた。完成するのは1903(明治36)年で、この時点では陸軍練兵場だった。公園の南には、1890(明治23)年に完成する国会議事堂が描かれている。各省庁はこの後、霞ケ関に集中していくが、本図ではまだ分散したままの様子で描かれている。 俯瞰図法と透視図法を自在に組み合わせ、広い空間にメリハリをつけている。作者の井上安治は、清親風の光線画をやめ、探景と号して以後は、ありきたりの開化絵の作風になったとも言われるが、本図の構図にはやはり非凡な手腕が見られる。(田島)
史料群概要
画像有