日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/03.経済・金融
01.絵画
03.経済・金融
東京府下自漫競 海運橋銀行
絵師:広重III 落款: 本名等: 版元:   
技法:錦絵 法量:333×216
数量:1 
37TA/00108
00153
解説:本図に描かれている建物は、明治5年6月に三井組によって海運橋のたもとに建てられたもので、初め三井為換座、三井組ハウスなどと呼ばれた。擬洋風建築の代表作で、設計・施工は清水喜助。2階建ての西洋風建築の上に唐破風・千鳥破風を備えた城郭風の上層を作り、その上さらに物見櫓風の高楼を突出させるという、実に独創的な様式で作られている。竣工後ほどなく、三井組から、新たに制度化された国立銀行に譲り渡され、明治6年8月、第一国立銀行として開業した。築地ホテル館、駿河町三井組ハウスと並ぶ、明治初期の巨大建築で、この建物を主題にした開化絵は非常に多い。現在この場所には第一勧業銀行兜町支店があり、「銀行発祥の地」の碑がある。 本図はタイトルが「銀行」となっていることから、明治6年に第一国立銀行となって以後の情景を描いていることがわかる。屋上の旗に見える星を重ねたマークは第一国立銀行のもの。 本図には落款や改印が画中に見えない。「東京府下自漫競」というシリーズの全体像は不明だが、本館にはもう1点「東京府下自慢競 江戸橋石造」(No.533)というのがある。大判一枚という版型、短冊形と丸形を組み合わせた表題の枠など、同じシリーズと考えてよい。No.533を見ると、広重(三代)の落款と明治7年5月の改印が左の枠外に刷り込まれている。それに対し本図は枠の周囲を切り落としているため、落款等が失われたものとわかる。本図は作風上も、広重のものと見て大過ないと思われる。(田島)
史料群概要
画像有