日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/03.経済・金融
01.絵画
03.経済・金融
東京海運橋兜町為換座五階造之図
絵師:国輝II 落款: 本名等: 版元:   
技法:錦絵 法量:357×716
数量:3続 
37TA/00110
00155
解説:本図に描かれている建物は、明治5年6月に三井組によって海運橋のたもとに建てられたもので、初め三井為換座、三井組ハウスなどと呼ばれた。擬洋風建築の代表作で、設計・施工は清水喜助。2階建ての西洋風建築の上に唐破風・千鳥破風を備えた城郭風の上層を作り、その上さらに物見櫓風の高楼を突出させるという、実に独創的な様式で作られている。竣工後ほどなく、三井組から、新たに制度化された国立銀行に譲り渡され、明治6年8月、第一国立銀行として開業した。築地ホテル館、駿河町三井組ハウスと並ぶ、明治初期の巨大建築で、この建物を主題にした開化絵は非常に多い。現在この場所には第一勧業銀行兜町支店があり、「銀行発祥の地」の碑がある。 本図では、建物を真横からとらえることで、3枚組の横長の画面いっぱいに大きく描き、建物の巨大さを強調している。その分、立体感は損なわれ、1、2階部分の形がわかりにくい。軒下の和風彫刻の意匠など、細部の特徴も比較的詳しく描かれている。建物の外だけでなく内部も見物人であふれかえっている。 左下に海運橋、右端に鎧橋が見える。 タイトルに「為換座」とあることから、第一国立銀行となる以前の情景と思われるが、「為替座」の通称がその後も通用していた可能性があるため、厳密には決めがたい。 なお、本図には画家名のみで、刊記も版元も明記がないが、右図の奥の土蔵倉庫の壁面に描かれた「辻」および「文」から、版元は辻岡文助であると推定できる。(田島)
史料群概要
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