日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/09.政治
01.絵画
09.政治
廿五年貴族院議事之図
明治25
1892
絵師:小国政 落款: 本名等: 版元:福田■次郎  日本橋区長谷川町十九番地
技法:錦絵 法量:366×713
数量:3続 
37TA/00173
00267
解説:立憲君主制をとった明治政府が制定した大日本帝国憲法が規定した帝国議会は、衆議院と貴族院との二院制であった。このうち、衆議院が公選された議員で組織されたのに対し、貴族院は皇族・華族・勅選議員・多額納税者によって成立していた。なかでも、皇族は成年男子が自動的に議員となり、華族も公爵・侯爵は世襲であって、全体として特権階級の代表者を集めたものであった。したがって、その性格は保守的色彩が濃厚であり、ここにも明治政府の体質が明白に反映するものであった。貴族院の正・副議長は勅命によって決められ、初代議長は伊藤博文であるが、本図に挿入された議員名簿の蜂須賀茂韶は2代目議長として明治24年7月に任命され、明治29年10月まで勤めた。 本図の発行は明治25年4月となっているが、前年12月に第2回通常議会は解散しており、4月は閉会中である。第3回特別国会が開催されたのは翌5月6日である。恐らく翌月の開会をひかえて、予告的に本図が発行されたものと推定される。全員が洋服の第一礼装を着用しているのは、今日からみると異様であるが、これもまた当時の貴族院の性格を示すものと受けとめることができよう。 演壇上で演説する人物の前に演説原稿がないのは、画家の書き落としであろうか。4人の速記者が、インク壺を備えてペンを使用しているのは実写と推定されるが、確認には他の資料からの立証が必要である。
史料群概要
画像有