日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/03.経済・金融
01.絵画
03.経済・金融
太平優美論
絵師: 落款: 本名等: 版元:   
技法:錦絵 法量:378×507
数量:2続 
37TA/00296
00406
解説:幕末の江戸の景気を扱った風刺画である。左右にそれぞれ7種の職業を配して、中央で武士が仲裁した図柄になっている。左右とも7業種のうち6業種の広い分が詞書になっているが、双方ともに、″もうかってしようがねへ″とか″いそがしいから……こまります″などと景気のいい詞が並んでいて、左右の区分は景況の良・不良で対立したものではない。しかし、仲裁の武士が″人の禍福は己の稼ぎと正直にあるところなれば、歎くにも及ぶまじ、またほこるにもおよばぬゆえ、時節をまって稼げ稼げ″といっているところから察すると、詞書にある好況は反語であって、実態はその逆で全業種が不況下で歎いていることになる。このような、現実とは逆の設定で時勢を批判する手法は、江戸の風刺にもみられるもので、金がもうかり過ぎて困り果てるという黄表紙と共通する。左官の詞のなかに″地震のあとの銭もうけを茶々無茶々々にしてしまう″とある地震は、1855(安政2)年10月におきた安政の大地震をさしているのはあきらかであるから、本図の作成はそれから数年後と考えてよかろう。
史料群概要
画像有