日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/07.産業
01.絵画
07.産業
養蠶皇国栄
明治11年
1878
絵師:国政IV 落款: 本名等:竹内栄久 版元:林吉蔵  南伝馬町一丁目二番地 
技法:錦絵 法量:361×722
数量:3続 
37TA/00313
00426
解説:宮中の官女が養蚕を行っている図。宮中の養蚕は現在でも行われている。皇后が養蚕を行ったという伝記(『日本書紀』巻第十四、雄略天皇、「天皇、后妃をして親ら桑こきて以て蚕事を勧めしむと欲す」)に基づき、1871(明治4)年、昭憲皇太后によって始められた。皇后自ら殖産興業の範を垂れるという意味があったと思われる。本図は3枚続の画面全体を大きく使い、遠近法を用いて奥行きのある画面を作っている。室内と室外の作業に分かれている。室内では椅子に腰掛ける二人の高貴な女性が、孵化した蚕を羽箒と箸を使って蚕座に移す作業(掃立)を見ている。左手の女性が明治天皇の皇后昭憲皇太后であろう。右の女性は高位の女官かもしくは孝明天皇の皇后英照皇太后か。皇后は椅子に座り桧扇を開いて持つ。室内の官女は、掃立の作業をする年少の1名を除き、みな小袖、緋の大腰袴着用の上に、打掛を着す。室内には格子に区切られた絨毯が敷き詰められ、上部には蔓草模様の幕が掛かっている。皇后の背後には、大きな花瓶に牡丹・杜若・菊が生けてある。室外には池泉回遊式の庭園があり、池と建物との間で作業が行われている。 宮中の養蚕は明治初期に行われた史実だが、本作品のような錦絵作品に描かれている皇居内の情景は絵師の想像と思われる。同一の画題であるNo.61と比べると、官女の衣裳や作業の場所などに、多くの違いが見られるが、その一方で床の間に置かれた牡丹の花瓶のような、なくてもよいと思われる装飾は共通しており、ある程度共通したイメージが形成されていたことがうかがわれる。(田島) (採寸情報)中央と左の版は絵がつながらないが、すきまなく合わせた寸法を表記した。中央・右側2枚合わせて361×478mm、左1枚は356×243mm。(青木睦)
史料群概要
画像有