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解説:江戸時代に、盲人仲間が幕府の承認のもとに行なった貸付金を官金と称した。もともと、障害者である盲人の生活を救済するために、盲人たちが得た収入を資本として金融活動する特権を与えたものであるから、返済期間の短縮、債権回収の優先順位などに優遇策を講じていた。その結果、有利な利殖法として官金への資金提供が認識され、武士や町人が出資し、それをもとに盲人が貸付金融をしたのである。豊富な資金と、幕府の保護を受けて、官金の貸付は近世の名目貸の一翼を担ったが、一方では、貸付金の厳しい取立ては、広く知られた事実であった。 本図は、その貸付けた官金の返済を求める取立方法について、仲間の盲人達が寄合を開いている様子を描いた風刺画である。右側は強硬派というべき人々で、″かけやい(掛合)も何もいらぬ、……むやみに押かけてとる″と主張し、左側は穏健派といえようか、″ひたすら嘆いて、だましてとる″と主張している。双方とも一帖台の上に坐っているのが、当道座で最高位にある検校とみられるが、他の盲人達と違って面相もおだやかに描かれ、右方の検校は″きさまたち、よいようにしてたも″と、取立について現場に一任してしまっている。
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