日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/07.産業
01.絵画
07.産業
兎ばゑ
明治6
1873
絵師: 落款: 本名等: 版元:山に重   
技法:錦絵 法量:357×249
数量:1 
37TA/00348
00464
解説:1872(明治5)年の夏ごろから流行した兎の飼育は、珍種の売買に高値がつくなどの噂もあって、士族の副業としても出資した例が多かったという。しかし、異状な流行に売買の禁止や市場の閉鎖などの規制が出されて、翌年の春には一時の流行も急速に終息し、出資者は多額の損失を受けた。 本図は、その流行現象を歌舞伎の舞踊劇『鳥羽絵』を使って戯画化したもの。『鳥羽絵』は『御名残押絵交張(おなごりおしえのまぜはり)』という清元(きよもと)の変化所作事(へんげしょさごと)のなかの1場面で、半天1枚で半裸姿の下男が枡をもって鼡を捕らえようとする滑稽な舞踊劇である。『鳥羽絵』を『兎ばえ』におきかえて、薄衣1枚を羽織った兎を下男に見立てている。清元による原作の詞章の冒頭部分は″しめたぞしめた、オットどっこい、逃してなろか、おのれ噛らば、三味は噛らいで、戸棚めしつぎあげくのはてにゃ、可愛女房の鼻柱、それで憎さが升落し……″というのであって、本図の詞章が、これを下敷にしたパロディであることは明らかである。延喜太夫が、名人と称された延寿太夫をもじっているのはいうまでもない。兎にやや遅れて南京鼡の飼育があったことも、本図には取り入れられていよう。
史料群概要
画像有