日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/11.風俗・娯楽
01.絵画
11.風俗・娯楽
開化廿四好 石鹸
明治10
1877
絵師:国周 落款: 本名等:荒川八十八 版元:武川清吉板  須田町四番地 
技法:錦絵 法量:334×230
数量:1 
37TA/00415
解説:洗浄剤ないし洗濯剤としての石鹸を、開化の文物に取り上げるには若干の説明が必要となる。開化期の人は石鹸を″しゃぼん″といっていたが、その語源はイスパニア語またはポルトガル語のXabonにあるという(『日本外来語辞典』)。とすればこの言葉の伝来は16世紀の南蛮文化であって、開化期より3世紀も古い。しかし、ヨーロッパのしゃぼんが洗剤としてそのまま日本に定着したわけでなく、幕末の洋学熱の中で実験的な試作品が作られたほかは、伝統的な灰汁(あく)や糠(ぬか)が主流であった。ただ、遊戯用のシャボン玉(さぼん玉とも書く)は、かなり広く普及していた。漢語の石鹸と外来語のしゃぼんとの接点にも、一応の経緯がある(小林良正『石鹸の歴史』)。従って、開化期に輸入石鹸を使うようになった時、英語のSoap(ソープ)でなく、3世紀も前に渡来して記憶のどこかに残っていた南蛮語を用いたのであろう。 歌舞伎絵の方の″洗い小町″は、和歌の才媛として著名の小野小町と作歌を争った大伴家持が、小町の和歌を古歌集の中に加筆して、小町が盗作したと訴えた時に、加筆の部分に小町が水をかけると洗い流されて消えてしまい、小町への疑惑がはれるとともに、家持の悪計が暴露したという話である。能の『草紙洗小町』を原形として歌舞伎化されている。コマ絵との共通項が″洗い″にあることはいうまでもない。 No.400参照。
史料群概要
画像有