日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/07.産業
01.絵画
07.産業
鐘渕紡績株式会社内 精紡機
明治28
1895
絵師:青柳堤村 落款: 本名等:青柳堤村 版元:青柳堤村  東京府下向嶋隅田村一三四七番地 
技法:錦絵 法量:212×284
数量:1 
37TA/00423-009
00626
解説:明治21年5月に鐘渕紡績所として東京の隅田川東岸に紡績工場設立の許可を得たのが始まりで、鐘淵は地名である。当初から成功したわけではないが、本図出版の翌明治29年には日清戦争の好況を背景に兵庫への進出を果すなど次々に拡張・合併を重ねて大手紡績企業へ発展した。本図は、会社の案内・宣伝を兼ねて工場内の配置や主要機械の紹介を10枚の組物にして発行したもので、作者が元社員という独特な作品である。 第8図は、工場の全貌であるが、水彩画風のスケッチがいかにもアマチュア作者らしい筆致で描かれている。第9図の説明文には4万錘の設備と3000人余の職工を擁したとある。明治10年代の紡績工場の平均生産設備が2千錘だったことに比べれば、その規模の大きさが理解できよう。工場内の紹介として、各種の機械と動力源としての汽鑵が描かれる。工場に搬入された原綿は、まず打綿機などを使って雑物を除去しながら適宜にほぐした後に、梳綿機にかけて糸状にのばしていく。これが製条工程の第一段階である。これをさらに、練条機や練紡機にかけて粗糸をつくる前紡工程をくりかえした後に、綛糸(リール)機で撚りをかけながら製品に仕上げていく精紡機に移して、スピンドル(錘)を回天させて糸枠に巻きつけていく。これらの機械を運転する動力の供給には6基の汽鑵で1300万馬力を出力している。男女の職工が洒落たセンスで描かれているのが印象的である。全10図には、このほかに綛糸機(リールき)と汽機(エンジン)の図、および工場を裏側から描いた図の3点が含まれている。(『明治開化期の錦絵』より)
史料群概要
画像有