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解説:幕末維新期の政情を、源平時代の武人を使って戯画化したものである。見立てた人物について、本図の前所蔵者がつけたと覚しき貼紙は、次のように記す。 平忠のり 薩州侯(官) いもは薩摩の名産 岡部六弥太 酒井侯(幕) 小林朝比奈 会津侯(幕) 曽我の五郎 長州侯(官) 竹本藤太夫 藤堂侯(官) 鶴沢大木寸 大村侯(官) 土佐坊 土州侯(官) 又野五郎 慶喜公 八百貫目の石を足て揚げたるは、八百万石を差上けたる諷意なるべし さなた与市 尾州侯 煙管持たる武者 鳥取侯 手をひろけ居る武者 池田侯(官) 本図の版行年代は不明であるが、維新直後の時事性の高いものであることは間違いない。当時の人びとには、上記の推定が可能だったのであろう。それでないと、風刺画としての存在意義を失うからである。藤太夫を藤堂に、土佐坊を土州侯になどの語呂合わせもあるが、平忠度といえば薩摩守に任じられていたことは、誰でも知っていたから、薩摩芋の連想で、忠度が焼芋屋となるのに少しも無理はなかった。(原島) (採寸情報)左右離れて台紙に貼付されているのでのりしろを除く合計の寸法を表記した。左は355×243mm、右は354×248mm。(青木睦)
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