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解説:劇場や芸能人から徴収する地方営業税を賦金と名称統一することを定めた太政官布告は1874(明治7)年1月19日に発令された。これに基づいて各府県では上納額を決定するが、芸能の種類だけでなく、同種の芸能人にも格づけを行なって、上納額に差をつけた。本図に取上げている芸能人の賦金額が、5円から1分まで○形枠に記されており、更にその○形が3色に色別けされて上・中・下の3等級を示していることを左端で説明してある。具体的には、右上辺に描かれた3人の俳優は、5円、2円2分(1円=4分の換算なので、これは2円50銭となる)、1円の3等級に区別されている。ただし、実際には俳優の場合に限り下等をさらに区別して一級を1円、二級は50銭、三級は25銭としていた。逆に、芸人の人員が少ない分野では中等を設けなかったり、全く等級をつけず一律に課税した場合もあった。また、下辺に描かれた芸者や娼妓のように、吉原、千住、品川という地区別に格差をつけたものもあった。これらの税額は月額であるから、年額では12倍になるわけで、相当の負担を強制したことになる。図の左側は、そうした高額負担を支えている客層や、高収入を暗示する品物などを併載している。(原島)
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