日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/03.経済・金融
01.絵画
03.経済・金融
大集諸色の大さがり
慶応3年
1867
絵師:国輝II 落款: 本名等: 版元:具足屋  人形町 
技法:錦絵 法量:375×752
数量:3続 
37TA/00515
00795
解説:物価の値下げを祈願している風刺画。この画の素案とみられる墨刷画がNo.353にある。祭壇で祈祷する修験者、対象となる物品には稲荷に因んで狐の風俗、全体を支配する高天が原の神々――これらの構成は墨刷画と共通するが、細部の表現や配置は、かなりの変更が加えられている。まずは、墨刷が一枚図であるのに対し、本図は三枚続の色摺りに変っている。次に、一般に板行した本図には作者名、板元名に彫師や、板行の極印が明記されているが、墨刷の方には当然ながらこれらの一切が存在しない。画中の人物の詞書の文字も、本図の方がやや丁寧であるといえる。しかし、すべてが良い方向に変更されたともいえない。例えば、墨刷画で、中央の右上方に″稲荷図″の原形ともいうべき、稲束を荷負い棒で担いでいる狐の姿が、本図では全く姿を消して、単純に2匹の狐に変って、新しく山伏風の天狗が加わっている。これなどは、墨刷画の方が風刺が効いておもしろいと思う。 すべての錦絵が、こうした素案ないし下絵をもとに完成したはずであるが、それらの素案や下絵が版になって残る例は、あまり多くはない。その意味で、本図と墨刷画とを比較して考証できるのは、きわめて興味深い。(原島)
史料群概要
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