日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/10.地理
01.絵画
10.地理
東京名所競 両国橋
明治18
1885
絵師:邦利 落款: 本名等:長谷川園吉 版元:長谷川園吉  小伝馬町三丁目十六番地 
技法:錦絵 法量:248×370
数量:1 
37TA/00518
00798
解説:両国橋は江戸・東京名所の一つとしてしばしば描かれてきたが、本図では、隅田川を行き来する輸送船が主役となっている。 2隻の蒸気船は、通運丸と呼ばれる船で、江戸川・利根川を運行する定期航路で活躍していた。両国橋のたもとに見える、丸に「通」の字の旗を掲げる建物群は、内国通運会社といい、今日の日本通運の前身である。この会社が通運丸を運行していた。1872(明治5)年、陸運元会社として設立され、1875(明治8)年に内国通運会社と改称。その後国際通運株式会社、日本通運株式会社と社名を変えるが、1950(昭和25)年に株式を上場するまで、政府の保護を受けて幅広く輸送業務を行っていた。 通運丸は石川島造船所の製作。日本の民間造船所では初の蒸気船で、1877(明治10)年に第1号が完成した。石川島資料館の資料によれば、長さ21.8m、幅2.7m、重さ34トン、13馬力で6ノットの速度で航行したという。本図には左側に、江戸時代以来の帆船も描かれており、新旧の対比が意図されているものと思われる。 作者の邦年は、浮世絵師の人名辞典にその名が見えない。画面左奥の蔵の描写で他の部分とかけ離れた消失点を持つ極端な遠近法を用いているなど、あまり優れた技術を持つとは言い難い。(田島)
史料群概要
画像有