日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/04.建築・土木
01.絵画
04.建築・土木
東京吾妻橋新筑落成之図
明治20
1887
絵師:国政IV 落款: 本名等:片田長治郎 版元:片田長治郎  東京浅草区南元町十六番地 
技法:錦絵 法量:379×705
数量:3続 
37TA/00555
00835
解説:隅田川に古くから架かる吾妻橋は1887(明治20)年、初の本格的な鉄橋として生まれ変わった。横浜絵にも見られるように、鉄製の橋自体は明治初期からあったが、これほど長大な橋が東京の市中に登場したのは初めてだったため、錦絵に多く描かれている。 吾妻橋を描いた錦絵では、井上探景の「東京名所吾妻橋水雷火遠望之図」(明治21)のように、橋のたもとから遠近法を効かせてその長さを強調するのが普通だが、本図では川の上空に視点を取り、橋を真正面から描いている。このあり得ない視点こそが風景画ならぬ「開化絵」らしいところである。 画中には橋の説明が描き込まれている。「橋ノ長サ八拾六間巾七間惣テ鉄造ナリ」「橋台二ケ所」「ガストウ八本」。橋を渡る人々は、このころになると、洋服を着たハイカラな人物が多いが、花見の帰りに折った桜の枝を担いでいる男のように、近世以前の風俗図から続く伝統的なモチーフも見られおもしろい。 川の右手には浅草寺、待乳山聖天などが見える。浅草寺の左に「富士山」と描き込まれた妙な山のようなものは、富士山縦覧場。1887(明治20)年、浅草公園に建てられた木造の施設。高さ約32メートルのアトラクションだったが、1890(明治23)年には取り壊されている。(田島)
史料群概要
画像有