日本実業史博物館準備室旧蔵資料
37TA
01.絵画/05.交通・通信
01.絵画
05.交通・通信
六郷蒸気車鉄道之図
明治4
1871
絵師:一景 落款: 本名等: 版元:山に・と蔦   
技法:錦絵 法量:375×739
数量:3続 
37TA/00589
00904
解説:多摩川の下流、川崎と東京都大田区を結ぶ地点は東海道の街道にあたり、渡し船で往来した。これを六郷の渡しと呼んだ。現在も大田区側に東六郷・西六郷などの地名が残る。この辺りには六郷土手と呼ばれる広大な河川敷があり、鉄道敷設の際に建造した橋は長大で、かつてない大規模な工事となった。 本作品は改印から1871(明治4)年8月の版行であることが知られるが、新橋-横浜間に鉄道が開通したのは翌1872(明治5)年10月のことである。したがってここを走行している蒸気機関車は想像で描かれたものである。機関車が客車に挟まれるように連結されるなど、一見して誤りであることがわかる。ただ、橋の建築自体は、1871(明治4)年にはかなり進んでいたと思われる。巨大な建造物を目の当たりにして、まだ見ぬ鉄道の姿に思いをはせたのだろう。 本作品は、前景に昔ながらの渡し船の様子を描き、遠景に高速で疾走する新時代の乗り物を描いている。この渡し船は、1884(明治17)年に六郷橋が完成するまで使用された。一景は同じ主題の作品を少なくともあと2種制作している。そのうち1872(明治5)年に制作された横大判1枚物は、本作品とほとんど同じ構図をとるが、鉄道の背後に富士山を大きく描いている。(田島)
史料群概要
画像有