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解説:内国勧業博覧会は、明治政府が殖産興業政策の一環として開催した博覧会。1877(明治10)年に第1回の博覧会が行われ、以後、1881(明治14)年、1890(同23)年、1895(同28)年、1903(同36)年と5回行われた。万国博覧会の国内版というべき形式で、全国各地から出品された。内容は、鉱工業、農業、美術工芸など多岐にわたる。 本図は、1903(明治36)年3月1日から7月31日に大阪で行われた第5回内国勧業博覧会を描いている。会場は、現在の天王寺公園の一帯。この博覧会の特徴としては、アメリカ、カナダ、台湾など海外の物産を展示する施設が登場したこと、ウォーターシューターなど遊興色が強かったことなどが挙げられる。 本図では、会場の詳細な平面図と、主な見所を記した文章を組み合わせてある。現在の大阪市立美術館がある茶臼山周辺は、今は天王寺公園の一部をなすが、このころは、住友家の邸宅であって博覧会場には含まれない。そのためその部分に、博覧会の別会場として開館した堺市の水族館の図面が記入されている。 右の欄外に「本図は曩に大阪朝日新聞附録として読者に領ちしものなるが、爾来江湖諸彦より発売を望まる丶向き多きにより一部分の改訂を加へ弘く発売すること丶せり」と記されており、本図がもとは大阪朝日新聞附録として作られたが、広く需要があったので、一部改訂して売り出したものであることがわかる。(田島)
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